シガーソケットの口が足りないときは、分配器を差す、ソケットの裏の配線から分岐する、ヒューズボックスから電源を取る、という3つのやり方で増やせます。ただし、分配器で口を増やしても、車のソケットに流せる電気の上限はそのままです。
分配器で足りる人もいれば、ヒューズボックスから別の回路の電気を取ったほうがよい人もいます。選ぶ基準は、同時に使う機器の合計と、付けたい場所です。車の説明書での上限の確かめ方や、避けるヒューズ、店に頼む場合の工賃の目安も取り上げます。
シガーソケットを増やす方法は3つ。どれも元の電源の容量を超えては使えない
シガーソケットを増やす方法は、分配器を差し込む、シガーソケットの裏の配線から分岐する、ヒューズボックスから電源を取る、の3つです。どの方法でも口の数は増やせますが、使える電気の量は、電気をもらってくる元の回路で決まります。口を増やしても、使える量まで増えるわけではありません。
3つの方法は、電気をどこからもらうかが違う
分配器は、今あるシガーソケットに差し込んで、2口や3口に分ける製品です。配線に手を加えずに使えますが、電気は元のソケットから来ています。
シガーソケットの裏から分岐する方法では、内装のパネルを外し、ソケットにつながる配線から新しいソケットへ電気を分けます。見えない場所に付けられる一方、電気の出どころは元のソケットと同じ回路です。
ヒューズボックスから取る方法では、車のヒューズを「ヒューズ電源」に差し替え、そこから新しいソケットへ配線します。ヒューズ電源は、純正のヒューズの代わりに差し込み、電気を取り出すコードが付いた部品です。どのヒューズと差し替えるかを選べるので、シガーソケットとは別の回路から電気をもらえます。
分配器と裏の分岐は、元のソケットの枠を分け合う
分配器と裏の分岐では、口がいくつに増えても、元のソケットに流せる電気の上限は変わりません。つないだ機器すべての合計を、元のソケットの枠に収める必要があります。
たとえば、12V車で上限が10Aのソケットなら、使えるのは合計でおよそ120Wまでです。スマートフォンの充電器を2つ差すくらいなら、収まることが多いでしょう。ただ、タイヤの空気入れやインバーターのように電気を多く使う機器を重ねると、ヒューズが切れることがあります。上限の数字は車によって違うので、自分の車の取扱説明書で確かめます。
ヒューズボックスからなら別の枠を使えるが、取れる量は決まっている
ヒューズボックスから取れば、シガーソケットとは別の回路を使うので、元のソケットの枠は減りません。ただし、取り出せる量は、差し替えたヒューズの回路と、ヒューズ電源の仕様で決まります。
たとえば、エーモンの低背ヒューズ電源E578は、15Aのヒューズと差し替えて使う製品です。使える電流は5A、12V車で60W以下です。同じ低背ヒューズ用でも、20Aのヒューズと差し替える2048は10A、12V車で120W以下になります。元の回路につながっている車の装備が使う分を残すため、取り出せる量は、差し替えるヒューズの数字より小さく決められています。
増やす前に、車の説明書とつなぐ機器の合計を確かめる
どの方法で増やすかを決める前に、車の取扱説明書で2つのことを確かめます。ソケットで使える電気の上限と、電装品を後から付けることについての注意です。そのうえで、同時に使いたい機器の消費電力を足し、上限に収まるかを見ます。
取扱説明書で、ソケットの上限を見る
上限は、取扱説明書のアクセサリーソケット(電源ソケット)の説明に書かれています。「DC12V/10A(消費電力120W)」のように、電圧・電流・消費電力の組み合わせで示す書き方が一般的です。
たとえば、トヨタのヤリス(2026年2月以降の型)の取扱説明書では、アクセサリーソケットの上限を120W未満としています。あわせて、すべてのアクセサリーソケットにつないだ電気製品の消費電力を、合計で120W未満にするよう書かれています。車にソケットが2つ以上あっても、それぞれで120Wずつ使えるとは限りません。上限の数字や数え方は車によって違うので、自分の車の説明書で確かめます。
紙の説明書が手元になくても、自動車メーカーの多くはWebで取扱説明書を公開しています。車種と年式を選べば、同じ内容を確認できます。
後付けの電装品についての注意も読んでおく
説明書には、電装品を後から付けることについての注意も書かれています。トヨタのヤリスの説明書では、電装品・無線機の取り付けや取りはずしは、トヨタ販売店に相談するよう案内しています。電子機器に悪影響が出たり、故障や車両火災につながったりするおそれがあるためです。
分配器を差すだけなら、車の配線には触りません。一方、ソケットの裏から分岐する方法とヒューズボックスから取る方法は、車の配線に部品を加える作業です。自分で作業するかを決める前に、自分の車の説明書がどう案内しているかを読んでおきましょう。
つなぐ機器の消費電力を足して、上限と比べる
機器の消費電力は、本体のラベルや製品の説明書に「○W」と書かれています。「DC12V ○A」のように電流だけが書かれている場合は、12を掛けると消費電力の目安になります。
数えるのは、実際に同時に使う組み合わせです。たとえば、ドラレコを常につないでおき、走行中にスマートフォンの充電も加えるなら、その2つの数字を足します。合計が説明書の上限に近い、または超える場合は、元のソケットの枠を分け合う分配器や裏の分岐では足りません。別の回路から電気を取る方法を考えることになります。
抜き差しする機器が少しなら、分配器で足りる
同時に使う機器の合計が元のソケットの枠に収まり、使うときだけ差す機器が中心なら、分配器で足ります。配線の作業がいらず、外せば元の状態に戻せるのが分配器のよいところです。選ぶときは、分配器そのものの上限、ヒューズ、取り付ける形の3つを見ます。
分配器にも、合計の上限がある
分配器には、車のソケットとは別に、製品ごとの上限があります。たとえば、セイワのフィットコードソケット(F315・F316・F317)は、つなぐ機器の合計を7Aまでとしています。超えると本体の破損や発火の原因になると、取扱説明書で注意しています。車のソケットが10Aまで使えても、この分配器を通すなら7Aまでです。
車のソケットの上限と分配器の上限を比べ、小さいほうが実際に使える上限になります。分配器の上限は、パッケージや取扱説明書に「合計○A」「○W以下」のように書かれています。上限が書かれた製品を選べば、つなぐ機器の合計と比べて確かめられます。
ヒューズが入っているかを見る
電源プラグの中にヒューズが入っている分配器なら、流れる電気が多すぎたときに、分配器の中で電気を止められます。フィットコードソケットでは、電源プラグの先に10Aのヒューズが入っていて、切れたら同じ規格のものに替えるよう案内しています。
同じ説明書によると、分配器のヒューズが切れたときは、車側の確認も要ります。車のヒューズボックスのヒューズや、ヘッドライトなど車の機能に支障がないかを確かめます。
取り付ける形と、差しっぱなしの機器
分配器には、車のソケットに直接差して本体を固定するダイレクト型と、コードの先の本体を粘着テープで貼るコード型があります。ダイレクト型は配線がすっきりしますが、ソケットの周りに本体がせり出します。コード型は置き場所を選べる一方、コードの通し方を考える必要があります。
ドラレコのように差しっぱなしにする機器をつなぐなら、プラグが抜けにくい製品が合います。フィットコードソケットは、プラグとソケットの両方に、抜け防止のシリコーンリングが付いた製品です。それでも走行中の振動で接触が悪くなる場合があるとして、差し込み具合を定期的に確かめるよう説明書で案内しています。
分配器が合わないとき
取扱説明書で、二股ソケットなどを使わないよう案内している車もあります。その場合や、同時に使う機器の合計が枠を超える場合は、分配器ではなく、ヒューズボックスから別の回路の電気を取る方法を考えます。
ヒューズボックスから電源を取る方法と、選んではいけないヒューズ
ヒューズボックスから電源を取るときは、まず車の説明書でヒューズの形と容量を確かめます。そのうえで、エンジンを切ると電気が止まる回路のヒューズを選び、同じ形のヒューズ電源に差し替えます。エアバッグやコンピューターなど、走行中の安全に関わるヒューズは使いません。元のソケットとは別の回路から電気を取れるので、差しっぱなしの機器が増えたときの選択肢になります。私も、ヒューズボックスから電源を取る2連のシガーソケットを、20年以上使っています。
ヒューズの形に合うヒューズ電源を選ぶ
車のヒューズには、平型・ミニ平型・低背・マイクロ2といった形の違いがあります。ヒューズ電源は、差し替える純正ヒューズと同じ形のものを選びます。形が違うと、ヒューズボックスに差し込めません。
容量も合わせます。ヒューズ電源は、差し替えられるヒューズの容量が製品ごとに決まっています。たとえば、セイワのヒューズ電源取り出しソケット(IMP180)は、10A・15A・20Aのヒューズと差し替えて使う製品です。取り出せるのは、最大5Aまでです。
ヒューズの形・容量・場所は、車の説明書の「ヒューズ」の項目か、ヒューズボックスのフタの表示で確かめます。
エンジンを切ると止まる回路を選ぶ
差し替えるのは、エンジンスイッチをACC(アクセサリー)やONにすると電気が来て、OFFにすると止まるヒューズです。エンジンを切っても電気が来る常時電源のヒューズから取ると、つないだ機器が電気を使い続け、バッテリーが上がるおそれがあります。
どのヒューズがACCやONで電気が来るかは、検電テスターで確かめられます。検電テスターは、電気が来ているかをランプで確かめる工具です。スイッチをACCにしてヒューズの頭の端子に当てると反応し、OFFにすると反応しないヒューズが対象です。
エアバッグ、エンジンのコンピューターなど、走行中の安全に関わるヒューズとは差し替えません。IMP180の説明書でも、これらとの差し替えは絶対にしないよう書かれています。ヒューズボックスの空き(元々ヒューズが入っていない場所)にも使いません。ラジオやオーディオなど、止まっても走行に影響しない装備のヒューズを選ぶと安心です。
差し込む向きとアースを確かめる
純正のヒューズを抜くと、車によっては、記憶している設定がリセットされることがあります。ヒューズを抜いた場所の2つの端子のうち、電気が来ているのは片側だけです。ヒューズ電源は、電源側のコードがこの電源側の端子につながる向きで差し込みます。向きは検電テスターで確かめます。
増設したソケットのマイナス線は、車体の金属につながっているネジに共締めして、ボディアースを取ります。作業中は、配線の端子を車体の金属に触れさせないようにします。ショートして、故障や火災の原因になるためです。
裏に隠して付けるなら、シガーソケットの裏から分岐する
ドラレコのように差しっぱなしにする機器の電源を、見えない場所に置きたいなら、シガーソケットの裏の配線から分岐する方法が合います。純正のシガーソケットにつながる配線から電気を分け、増設したソケットをパネルの裏に隠せます。ただし、電気は元のソケットと同じ回路から来るので、使える量は増えません。
表に付けるか、裏に隠すか
抜き差しして使う機器なら、増設したソケットは手の届く表側に付けます。ドラレコやレーダー探知機のようにつなぎっぱなしの機器なら、ソケットを表に出しておく必要はありません。裏に隠せば、電源のコードも目に入らなくなります。
裏に隠すときは、振動でプラグが抜けても気づきにくい点に気をつけます。たとえば、エーモンの電源ソケット・プラグロックタイプ(1541)は、プラグを固定する仕組みが付いた製品です。プラグの太さは製品によって少しずつ違うため、こうした仕組みがあると抜けにくくなります。
分岐のおおまかな流れ
作業の流れは、次のとおりです。車種によってパネルの外し方が違うので、ここでは順番だけを示します。
- 増設するソケットのプラス線に、ヒューズを入れる部品と、配線をつなぐ部品を付けておく
- シガーソケットの周りのパネルを外す
- 純正のシガーソケットにつながる配線から、プラスとマイナスの線を出す
- 配線をつなぐ部品で、プラスとマイナスをそれぞれ分岐する
- 増設したソケットのコードを出して、パネルを元に戻す
分岐するときに気をつけること
分岐するのは、純正のシガーソケットにつながっている配線です。パネルの裏にはほかの配線も通っています。検電テスターが反応しても、電源として使える線とは限らないので、何につながる線か分からない線からは取りません。
増設したソケットのプラス線には、電気を取った近くにヒューズを入れます。増設したソケットや配線に流れる電気が多すぎたとき、そこで止めるためです。ヒューズの容量は、元のソケットの上限と、増設するソケットの上限を超えないものを選びます。
パネルは、裏の配線が見えて作業できる範囲だけを外します。外した部品は、取り付け位置が分かるようにしておき、元に戻せるようにします。戻すときは、増設したソケットのコードを挟んで傷つけないように気をつけます。
自分でやるか、店に頼むかの目安
分配器なら、差し込むだけなので自分で足ります。ヒューズボックスからの取り出しと裏の分岐は、車の配線に部品を加える作業です。ヒューズの場所と形を説明書で確かめられ、検電テスターで電気の来る側を確かめられるなら、自分で作業するかを考えられます。どれかに不安があれば、店に頼むほうが確実です。
店に頼んだほうがよい場合
次のどれかに当てはまるなら、カー用品店や車の販売店に頼むと安心です。
- ヒューズボックスが奥にあって手が届かない、または説明書やフタの表示でヒューズを特定できない
- 検電テスターを持っていない、または使い方に自信がない
- パネルの外し方が分からない、または内装に傷を付けたくない
工賃の目安
工賃は、店や車種、電源の取り方と取り付ける場所で変わります。ソケットの増設の工賃は、店に見積もりを頼んで確かめます。目安として参考になるのは、似た作業であるドラレコの取り付け工賃です。
オートバックスの公式サイトでは、一体型のドラレコの取り付けの目安工賃を示しています。シガーソケットにつなぐ場合は3,500円から、車の電源配線につなぐ場合は6,050円から(どちらも税込)です。配線に手を加える作業のほうが、工賃は高くなると考えておくとよいでしょう。同じページには、持ち込んだ商品や部品の取り付けは別料金になることがあるとも書かれています。
頼むときに伝えること
見積もりを頼むときは、次の3つを伝えると話が早く進みます。
- 同時に使いたい機器と、それぞれの消費電力
- 増設したソケットを表に付けたいか、裏に隠したいか
- 使いたい部品が決まっているか、店で用意してもらうか
同時に使う機器が分かれば、分配器で足りるのか、ヒューズボックスから取るべきかを、店でも判断しやすくなります。
シガーソケットの増設でよくある疑問
シガーソケットから100Vの電源は取れますか?
インバーターという変換器をシガーソケットに差せば、家庭用と同じ100Vのコンセントとして使えます。ただし、使える電気の量は、車のソケットの上限を超えません。上限が120Wの車なら、インバーターを通しても、120Wを超える家電は使えないということです。
ドライヤーや電気ケトルのように消費電力の大きい家電は、シガーソケットからは使えません。車によっては、100Vのコンセントが装備やオプションで付いています。たとえば、トヨタのヤリスのハイブリッド車には、1500W以下の電気製品を使えるアクセサリーコンセントがあります。グレードやオプションによっては付いていません。自分の車にあるかは、取扱説明書で確かめられます。
増設したソケットが使えないときは?
分配器なら、分配器のプラグに入っているヒューズと、元のシガーソケットのヒューズを確かめます。ヒューズボックスから取った場合は、ヒューズ電源の中のヒューズと、差し替えた場所のヒューズの両方を見ます。増設したソケットは、元のソケットとは電源の取り方が違うので、車のヒューズの表だけでは原因が分からないことがあります。
ヒューズの探し方や、ヒューズが切れていないときの調べ方は、シガーソケットが使えないときは?ヒューズの確認と、切れていない場合の調べ方で説明しています。
エンジンを切っても使えるように増設できますか?
エンジンを切っても電気が来る常時電源から取れば、使えるようにはなります。ただ、つないだ機器を切り忘れると、バッテリーが上がるおそれがあります。
エンジンを切ったあとも少しの間だけ使いたいなら、タイマー付きの電源ソケットが向いています。たとえば、エーモンの電源ソケット(OFFタイマー機能付)1543は、エンジンを止めたあとも、決めた時間だけ電気を送ります。時間は60分・30分・0分から選べます。使える電気は12V車で12W以下と小さいので、つなげる機器は限られます。
まとめ
シガーソケットを増やす方法は、分配器、ソケットの裏からの分岐、ヒューズボックスからの取り出しの3つです。どれを選ぶかは、同時に使う機器の合計が元のソケットの上限に収まるかと、差しっぱなしの機器を見えない場所に置きたいかで決まります。
- 抜き差しする機器が中心で、合計が元のソケットの上限に収まるなら、分配器で足りる
- つなぎっぱなしの機器を隠したいなら、ソケットの裏から分岐する。ただし、使える量は増えない
- 同時に使う電気が足りないなら、ヒューズボックスで、エンジンを切ると止まる回路のヒューズから電気を取る
まずは車の取扱説明書でソケットの上限を確かめ、同時に使いたい機器の消費電力を足してみるとよいでしょう。

